日本人の塩分摂取量は?2人に1人は高血圧?!
日本人は塩分過多!
世界から健康食として注目されている日本食ですが、実は、みそや醤油など、塩分過多の要素が多く、高血圧になる要素が高いという一面もあるのです。
また、寒い地域等では塩分の多い料理が好まれる傾向があり、日常的に塩分過多の食生活を送っているケースも見受けられます。
皆さんの大好きな日本食はもちろん、ファストフードや味の濃い食事には多くの塩分が含まれているのです。
例えば、レトルトカレーなどは、1袋に2g~2.5gの塩分が入っています。
これに鳥の空揚げやおつまみにえだまめなどを加えれば、1食で5g近くの塩分を取ることもあるでしょう。
このように、日本人は塩分過多になりやすい食事を取る機会が多いのです。
毎日、塩分過多状態が続いているので、高血圧患者も多く、50代以上では2人に1人が高血圧だと言われているのです。
高血圧改善のために運動をする高齢者も多いですが、運動に加え食事の改善が必要だと言われています。
特に高血圧、または高血圧予備軍の方は、食事の際に減塩を心がけることが、塩分の取り過ぎを抑制し、高血圧予防の第一歩となるのです。
減塩とは?減塩が必要な原因と目標の塩分摂取量減塩のメリットとは?
減塩が必要になる原因
減塩という言葉はよく聞くものの、どうして減塩が必要なのか?減塩が必要な原因が分からない?という人も多いのではないでしょうか?
塩分過多によって高血圧になってしまうと次のような病気になる可能性が高まります。
- 脳梗塞
- 脳卒中
- 心不全
- 大動脈瘤
- 腎硬化症
- 眼底出血
- 心筋梗塞
- くも膜下出血
- 狭心症
- 慢性腎臓病
聞いたことがあるような病名も多いと思いますが、命に係わるような大きな病気ばかりです。
このような脳や血管、心臓系の病気は高血圧が原因で起こることも多いと言われています。
誰でも血圧が高いと軽く考えず、高血圧状態を改善することが必要です。
減塩が必要なのは、高血圧の人ばかりではありません。
高血圧と診断されていない方でも、気が付かないうちに高血圧予備軍になっている場合もあるのです。
現在の定義では、血圧が「130」以上だと高血圧予備軍となります。
以前は、血圧130は正常な分類に入っていましたが、高血圧予備軍として注意が必要だという認識に変わってきているのです。
「自分は高血圧では無いから減塩も必要ない」という人もいらっしゃいますが、気が付かないうちに高血圧予備軍になっている可能性もあります。
高血圧ではないという方は普段から血圧を測る機会が少ないですが、高血圧予備軍になってから減塩を実行するより、血圧をこまめにチェックしながら減塩するのが良いかもしれません。
1日の塩分摂取量
WHO(世界保健機関)では、健康的に生活するためには塩分を1日5g以内とすることを目標にしていますが、日本では、日本食で塩分を多く摂るため生活習慣病の一次予防として、女性は7g、男性8g以内になっています。
ただし、大量に汗をかく夏場はこれよりも多く塩分を摂らないと熱中症になってしまう場合もあるでしょう。
逆に冬場は、塩分過多がむくみの原因になってしまう場合もあります。
このように、季節によって1日の塩分摂取量は異なってきますが、平均的には1日で7g~8g以内に塩分を抑えた方が良いです。
実際に、3食とも自分で調理して食べる場合は別ですが、お惣菜や外食、パンやウインナーなどの食材によってはどれくらい塩分が入っているのか?よく分からないという場合も多いでしょう。
お料理を作る際に減塩に気を付けていたとしても、できた料理に醤油やケチャップなどの調味料をかけると減塩にならない場合もあります。
実際の塩分摂取量は、男性が約11g、女性が約9gです。
また、1日の塩分摂取量に気を取られて、いきなり味の薄い食事にしたら、病人食のようになってしまう可能性もあるので、徐々に薄味に慣らしていく必要もあるでしょう。
頭の片隅に1日の塩分摂取量を考えながら食事をしたり、減塩の調味料などを使ったりするなどで、かなり摂取する塩分を抑えられます。
今までの食生活を180度減塩にする必要は無く、野菜を多く食べるとか、調味料を控えるだけでも改善の余地はありますので試してみるよう心がける事が塩分を抑える結果に繋がっていきます。
減塩のメリット
減塩をするとどんなメリットがあるのでしょうか?
次のようなメリットが考えられますので減塩を実践するようにしてみましょう。
生活習慣病の予防
塩分過多になると高血圧症などの生活習慣病リスクが高くなります。
高血圧になってしまうと様々な病気の要因になるだけではなく、生活に支障をきたす事も多くなるのです。
高血圧症になると命の危険も大きくなるので、治療が必要になり、病院への通院の他、薬物治療が長期間続くという事になりかねません。
減塩することによって、高血圧症などの生活習慣病を予防できるので、若いうちから始めておくと良いでしょう。
脳梗塞や心不全、腎臓病などの病気予防
塩分過多による高血圧は、様々な病気の原因になります。
血圧が常に高い状態になるため、脳梗塞や心不全など、直接死に至る病気になる場合もあるのです。
脳梗塞や心不全、腎臓病などの病気になってしまうと一命を取り留めたとしても長期間のリハビリや通院、治療が必要になり、腎臓病の場合、透析を数日に一度、数時間行う事で命を繋ぎます。
このような病気にかかると一般的な生活を送ることが難しくなることもあるのです。
脳梗塞などの病気予防のためにも減塩が必須になってきています。
むくみ予防
塩分過多になると、高血圧など病気になるだけではなく、美容の大敵である「むくみ」になります。
塩分が体に多いと水分と結びついて体がむくんでしまうのですが、特に重力の関係で足がむくむケースが多いです。
他にも飲み会の翌日に顔がむくむのも塩分過多が原因だったりします。
普段から減塩することによって、むくみの原因である塩分が少なくなるので、足や顔がむくみやすいという人は、減塩のメリットも大きくなるでしょう。
骨折予防なる
意外と知られていませんが、塩分過多になると骨が弱くなります。
塩分が血液中に多くなると、体は尿として塩分を排出しようとするのですが、その際にカルシウムも一緒に排出されてしまうのです。
特に閉経後の女性は、塩分過多・高血圧でエストロゲンが減ると言われています。
エストロゲンが減ると更に骨折のリスクが高まるので、減塩して骨折しないよう気を付ける必要があるのです。
減塩のポイントやコツって何?減塩で基本の8つと調理法について
減塩のコツ
減塩というと薄味で美味しくないというイメージを持っている人も多いですが、コツさえつかめば、食生活を楽しみながら減塩する事が可能です。
まず、減塩ですから、できるだけ塩気があるものは控える事がコツになります。
塩辛や焼き魚、漬物など、塩が多量に含まれるものは控えましょう。
普段の料理も、できるだけみそや醤油などを減らし、出汁を使うようにすると良いです。
出汁は、市販の粉状のものではなく、こんぶや鰹節、いりこなどがおすすめになります。
このような自然素材の出汁は、塩分が少ないですがうまみ成分が多いのでおいしく感じます。
他にも、お料理にはできるだけ醤油やケチャップ、ソースなどの調味料を使わずに食べるよう心がけましょう。
最初は味気ないかもしれませんが、食材の味付けを多少工夫すれば良いですし、慣れればそれほど苦になりません。
これらのコツを踏まえて減塩すれば、自然と塩分を抑えられるようになります。
減塩の基本8つ
減塩には次のような8つの基本がありますので確認しておきましょう。
- できるだけ野菜などを食べるようにする
- 調味料の使用を減らしハーブやスパイスなどを使う
- 調味料は減塩のものを選ぶ
- みそ汁は汁気を減らして具を増やす
- ラーメンやうどんなどの汁は残す
- ウインナーなどの食肉加工品は控える
- 外食では塩分が少ないものを選ぶ
- 水分を多くとり体内の塩分を排出する
野菜などにはカリウムが多く含まれ、体内の塩分を排出する働きがあります。
食事に野菜を増やす事によって、体内の塩分濃度が下がり高血圧予防にもなるのです。
みそや醤油などの調味料をできるだけ減らし、代わりにスパイスやハーブを使うのも良いでしょう。
どうしても調味料が必要な場合は、減塩の物を選んでください。
みそ汁を毎日飲む人は、汁気を減らすだけでも減塩になります。
野菜などの具をたくさん入れて飲むようにしましょう。
ラーメンやうどんの知るには塩分が多量に含まれていますので、飲まないようにすると良いです。
ウインナーやベーコンなどの食肉加工品は、大量の塩分を使っていますので控えるか、減塩のものを購入するようにしましょう。
外食では塩分を多く摂りがちですので、塩分が少ないものを選ぶようにすると良いです。
他にも、食事の際にはしっかり水分を取ることで体内の塩分を排出しやすくします。
これらの8つの基本を守ることで減塩生活を無理なく過ごすことができるでしょう。
減塩食の基本調理方法
減塩は自宅調理がベースとなりますが、基本の減塩食調理方法をマスターすると楽になります。
一般的な調理法より手間はかかりますが、ちょっとの工夫で減塩につながりますので実践してください。
おいしい出汁でアレンジする
こんぶや鰹節などの出汁を取って料理に使うと、イノシン酸やグルタミン酸という旨味成分が料理をおいしくします。
例えば、野菜を煮る時に塩ゆでするのではなく、出汁を使って煮ると旨味成分で美味しくなり、減塩にもなるのです。
香味野菜や下味で塩気を抑える
お肉を焼くときに塩コショウなどを使う人も多いですが、塩コショウではなく、お酒や香味野菜(しょうがやにんにく)を使うとおいしく食べられます。
減塩になるだけではなく味のアクセントにもなるのでおすすめです。
減塩調味料を計って使う
どうしても調味料を使って減塩食を作るなら、減塩調味料を使うようにしましょう。
また、減塩調味料を大量に使っては意味がありませんので、しっかりと量を計って、できるだけ少なめに使うのがポイントです。
野菜のソースなどで味のポイントを引き出す
減塩食では野菜をたくさん使って調理するのが良いとされていますが、中には野菜があまり好きではない人もいます。
そのような場合、野菜をみじん切りやソースにするのもおすすめです。
もちろん、調味料は少なめで野菜本来の味を活かしたソースを作ります。
野菜が摂れるだけではなく、味にメリハリが出て美味しい減塩食ができるでしょう。
あなたの大好きな食事は塩分が多くないですか?
普段の食生活だと好きなものを食べがちですが、今、食べているものにどれくらい塩分が含まれているかご存知でしょうか?
こちらでは、塩分が多い料理をご紹介します。
塩分や血圧が気になる方は、次のような料理や食材を控えるようにしましょう。
塩分の多い料理
- カップ麺(ラーメン・うどん・やきそば・その他)
- ハンバーガーなどファストフード
- お寿司の握り
- 丼もの(特に天丼)
- 焼き鮭
- カレー
- ハム・ウインナー・ベーコン
- 漬物(たくわん・梅干し)
- 塩辛
- 魚の干物(アジ等)
- みそ汁コーンスープ
減塩をして高血圧改善や成人病予防をしようとお考えなら、塩分が多い料理を控えることが重要になります。
特にカップ麺やファストフードなどは味が濃くて美味しいですが、塩分が大量に使われているので避けるようにしましょう。
他にも塩分が多い料理はご覧のように結構あります。
普段の食事の際に、塩分が多い料理だという事を自覚して他の物で代用するようにしましょう。
塩分が多い料理を食べないようにするだけでもかなりの減塩になります。
好きなものでどうしても食べたいというものがある場合は、量を減らして食べると良いです。
我慢し過ぎると反動が出る場合もあるので、調理を工夫して少量食べるようにしましょう。
塩分取りすぎた時の対処法
外食などに行くと塩分を取りすぎたのではないだろうか?と心配になる時もあるでしょう。
このような時にどのような対処法があるのでしょうか?
次のような対処法を行うと体内の塩分を排出することができます。
塩分を取りすぎた場合どうするの?
塩分の取りすぎを感じたら、できるだけ多くの水を飲むようにします。
水分をたくさん取ることで、尿と一緒に塩分も排出されるのです。
この時、注意しなければならないのはアルコールではなく水やお茶、コーヒーなどです。
おすすめは水やお茶で、時間を考えずに夜でも飲むことができます。
コーヒーは利尿作用が高いですが、夜に飲むとカフェインの影響で眠れなくなる場合もあるので注意しましょう。
水分を取る場合に、アルコールと考える人もいますが、アルコールはむくみの原因にもなり逆効果なので気を付けましょう。
特に飲み会などで大量の塩分やアルコールを摂取すると高血圧になりやすいと言われています。
他にもカリウムが多い昆布やわかめなどの海藻類を食べると良いです。
海藻類の他に、かきやすいか、メロンなどの果物、さつまいもや大豆などにもカリウムが含まれます。
他にも水分を取りながらウォーキングなどの運動をすると塩分が排出しやすい状態になるでしょう。
「減塩の日」について
毎月17日は「減塩の日」
高血圧学会では、減塩の必要性を広く知らしめるために毎月17日を「減塩の日」としています。
これは、月に1回でも減塩について考えてみようという高血圧学会の「スマート・ライフ・プロジェクト」によるものです。
高血圧症予防のための減塩や野菜摂取に着目し、健康的な食生活改善の支援や啓発を行っています。
例えば、減塩や野菜摂取に関する啓発ツールを無料ダウンロードできるツールを準備していますし、どんな食材にどれくらいの塩分が含まれているのかを紹介しています。
塩分が多い食材や料理を知ることから減塩が始まるのです。
生活習慣病と言われる高血圧予防のため、月に一度くらいは減塩の日を意識して食生活改善を真剣に考えるのも良いのではないでしょうか?
高血圧やそれに伴う病気になると、ずっと減塩食を食べることになるかもしれません。
そうなってからは「あの時、もっと減塩していれば」と後悔することになる可能性もあるのです。
ですが、減塩の日の月1回の減塩食なら、減塩に対する考えも確認できますし、高血圧にならないように気を付ける自覚も生まれます。
減塩の日をきっかけに、自分だけではなく家族の健康や子供の健康を見直すきっかけにもなりますので、月に一度の減塩の日を有効に使う取り組みが、家庭でも企業でも求められているのです。
まとめ
減塩は、高血圧疾患の方だけが行う食事療法ではありません。
日本人の食生活は、高血圧に陥りやすい傾向にあるため、他のどの国よりも減塩に対して真剣に向き合わなければならないのです。
健康な人も健康を維持し、病気を予防する為に減塩が必要なのです。
「減塩の日」などを活用し、自分の健康を守るためにも減塩生活を誰もがスタートさせる必要性があるのです。